2014年御翼11月号その2

『こころのチキンスープ』の共著者マーク・V・ハンセン

 『こころのチキンスープ』は54カ国語に訳され、世界で5億冊出版されている。欧米では、身体の具合が悪くなると、お母さんがチキンスープを作ってくれる。チキンスープが身体をいやすように、この本のストーリーが読む人の心や魂をいやすことができればいいという願いが込められている。

 理想の兄
 ある年のクリスマスイブのこと、ポールは兄さんからクリスマスに新車をプレゼントしてもらった。ある少年が、そのピカピカの新車を見て、ポールに話しかけてきた。「この車、おじさんのかい?」「ああ、兄貴からのクリスマスプレゼントさ」と聞くと、「うわあっ、すごいな!ぼく…」と、少年は何かを言いかけた。「ぼくにも、こんな兄さんがいたらなあ」と言いたかったのだろう、とポールは思った。ところが、少年は、「ぼくね、おじさんの兄さんみたいになりたいなって思ったんだ」と言った。
 驚いたポールは少年を乗せてあげる。すると、家まで連れて行ってほしいという。ポールは、きっとこんな大きな車で帰ってくるところを近所の人たちに見せて、自慢したいんだなと思った。しかし、その憶測はまたもやはずれた。家に着くと、少年は車を降り、急いで家に入り、間もなく身体の不自由な弟を背負って出てきた。少年は弟に車を見せて、「ほら、見てごらん。さっき言ったとおり、すごい車だろ。そこにいるおじさんの兄さんがクリスマスプレゼントにくれたんだって。お前も、待ってなよ。兄ちゃんが、いつかきっとあんな車をお前に買ってやるからね。そしたら、いつも話してるクリスマスのきれいな飾りを、その事に乗って見に行こうね」と言った。それを聞いたポールは、少年の弟を抱き上げ新車の助手席に座らせ、少年もその横に乗り込むと、三人はドライブに出かけた。本当にすばらしいクリスマスのドライブだった。このクリスマスの日、ポールは聖書のみことばをしみじみ感じたのである。「受けるよりは与える方が幸いである」(『こころのチキンスープ 愛の奇跡の物語』より

 「人種や国籍にかかわらず、人間は誰しも愛し愛されたいと望み、笑い、楽しみ、学び、成長しながら人生を送っていきたいと願っているのではないでしょうか。これらすべてが、この本のテーマです」と記す『こころのチキンスープ』の共著者のマーク・ハンセン氏はクリスチャンである。彼はピール牧師やシューラー牧師に感化され、発想の大きさが結果の規模を決めると考え、前向きに出版事業を始めた。ニューヨーク中の百四十四もの出版社から断られた後、取次をしてくれたのは、フロリダ州にある倒産しかかった小さな出版社だったという。
 聖書には沢山の物語が記されているので、一話あたり三頁以下の字数で威圧感のない短い物語を集めて出版した。それが、最適な贈り物用の本となった要因である。掲載されている物語は、人生を少しずつ良いもの、満たされたもの、賢いもの、より素晴らしく、向上させるものである。『こころのチキンスープ』シリーズは中国でも出版され、数億人の人たちに読まれている。ハンセン氏は起業家としてビジネスの本も書き、講演するために中国を訪れるが、聴衆から聞かれることは霊的な問題についてばかりだという。「私たちの使命は、人類の経済的、肉体的、精神的、そして霊的な回復のために働くことです。私は、この肌の袋(肉体)を保有し、眼球の後ろから見ている短い期間に、人類に仕え、霊感を与えられるような良い業をどれくらい行えるかを見たいのです」とハンセン氏は言う。世界中の「こころのチキンスープ」ファンにひとこと言いたいことは、と尋ねられ、ハンセン氏はこう述べた。「これまでにどれほどの精神的外傷(トラウマ)、苦しみや無気力を体験して来ようとも、あなたは自分の物語を書き直し、人生を素晴らしく、崇高なものにしよう」と。
 地上にいる間、人に霊感を与える業を行おうとする態度が、イエス様が来たときのために用意している生き方である。

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